産業医とは

 事業場において労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事が行えるよう、専門的立場から指導・助言を行う医師を指します。

産業医の選任

 事業者は、常時50名以上の労働者を使用するに至った時より14日以内に産業医を選任し、遅滞なく所轄労働基準監督署長に届ける義務があります。また、産業医に欠員が出た際も同様に、14日以内に新しい産業医の選任を行い、遅滞なく所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります。

事業場の規模
(常時使用する労働者数)
産業医の人数形態
50名未満選任する義務なし選任
50~499名1名嘱託
500~999名1名嘱託
(※①特定業務は専属)
1,000~3,000名1名専属
3,001名以上2名専属
産業医を選任する義務

専属産業医:産業医としてもっぱらその事業場における産業医の業務に従事することができる医師。

労働者数500名以上で専属産業医の選任が必要な業務

※①労働安全衛生規則第13条第1項第2号で定める特定業務(有害な業務)

  1. 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
  2. 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
  3. ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
  4. 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
  5. 異常気圧下における業務
  6. 削岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
  7. 重量物の取り扱い重激な業務
  8. ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
  9. 坑内における業務
  10. 深夜業を含む業務
  11. 水銀、砒素、黄燐、弗化水素、塩素、塩酸、硫酸、青酸、一酸化炭素、二硫化窒素、亜硫酸、ベンゼン、アニリン、その他これらに準ずる有害物のガス、蒸気、又は粉塵を発散する場所における業務
  12. 病原体によって汚染のおそれが著しい業務
  13. その他厚生労働大臣が定める業務

産業医の職務

  1. 月に一度の事業場巡回
  2. 衛生委員会の出席
  3. 健康診断の事後措置に関する業務
  4. 作業環境の維持管理に関する業務
  5. 過重労働者に対する面談(月間残業時間80時間の方の面談は努力義務で月間残業時間100時間超えは使用者の義務。)
  6. 休職・復職に関する面談、判定業務
  7. 日常の健康相談
  8. 衛生教育・健康教育(使用者、労働者への講話)
  9. 定期健康診断の結果報告書へのサイン
  10. その他労働基準監督署への提出書類の作成
  11. 衛生委員会議事録への捺印
  12. 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関する業務
  13. 労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは企業に勧告をする業務