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2020.02.11
薬剤師採用「新卒向け説明会」開催ノウハウ。学生をファンに変える説明会に必要なモノとは?
MCS代表の岡本です。
大学生の就職活動の売り手市場化により、説明会のあり方が変化してきています。かつての「会社を説明」するだけの情報提供の場では、学生の心をつかむことは難しいでしょう。
大手企業にあるブランド力などを持ち合わせていれば、受け身の態勢でも人材を獲得できるかもしれませんが、中小規模の企業だと独自性を打ち出す必要があり、さらには母集団の小さい薬学生を獲得していくには、一層の工夫が求められます。そこで本記事では、学生の心をつかむ説明会にするコツをご紹介します。
目次
1. 新卒向け説明会の種類
新卒向けの説明会はおもに3種類に分けられます。
個別会社説明会
各企業が志望者に対して、事業内容ほか採用情報などを説明する場です。
ホームページや求人サイトから参加の申し込みを行いますので、学生が企業をすでに認知していることがわかります。自社のオリジナリティを自由に発揮できるイベントと言えます。
合同企業説明会
求人サイトが主催する大規模な説明会です。
数多くの企業が出展しライバルが多いため、他社にはない特色を打ち出すことが不可欠となります。出展料やブース装飾にコストがかかるため企業の資金力が問われますが、まだ自社を認知していない学生と偶然的な出会いが生まれる可能性があります。
学内会社説明会
複数の企業が大学に出向き、在学中の学生向けにPRを行います。
自社の存在を認知してもらうきっかけとして有効な機会です。知名度のある大手企業は大学側から参加オファーがくる場合もあります。
2. 説明会開催のポイント
ここからは、学生の自主的な申し込み行動がともなう、個別会社説明会と合同企業説明会の2つに絞ってポイントをご説明します。
同じ「説明会」という名の採用イベントですが、勝手が大きく異なります。
個別会社説明会は「二層構造」にする
薬剤師の新卒採用活動でよく実施されている店舗見学会。他業種の会社説明会では決まった時間設定で、企業概要の説明や質疑応答などを実施して終了するパターンが標準的ですが、薬剤師業界の採用活動においては、「説明会+店舗見学会」の二部制にするといいでしょう。薬剤師の業務は調剤がメーンですので、現場を見せることはとても大切です。
説明会では経営者など上層部が登壇し、堅実な印象を示す要素を含ませるといいでしょう。反対に、次に続く見学会では、若手社員を投入して現場のリアルを伝えながら、和やかなムードで応対ができるといいでしょう。二層構造でメリハリをつけ、学生を飽きさせないようにします。
店舗への移動中や見学会終了後の時間も活用してください。移動中の車内や会後の飲食店など、就職活動上ではあまりない非日常のシチュエーションが生まれるので、学生との距離を近づけるチャンスになります。上層部や中堅社員には話しづらい本音を引き出すきっかけにもなるはずです。そこで学生の就職活動の悩みに耳を傾け、親身になることで「この会社は働きやすそう」と感じてもらえるかもしれません。
合同説明会は「ブース装飾」がカギとなる
個別の会社説明会では、事前申込を行った学生を迎え入れるのみですが、合同の企業説明会は、受け身の姿勢でいるだけでは学生はブースに足を踏み入れません。知名度がまだまだである企業は、まず学生に“座ってもらえるよう”工夫を施すことが必要です。
そこで効果を発揮するのがブース装飾です。数ある参加企業の中でどのように目立つかを考えてください。その方法を考える時に注意したいのが以下の2点です。
- 他社とかぶらないようにすること
- 悪目立ちしないこと
他社と同じことをやっていては印象がぼやけてしまいます。逆に奇をてらいにいきすぎて妙な印象を残すことは避けたいものです。
ブース装飾で自社の見せ方を検討する際は、異業種のイベントに参加したり、採用手法の進む他業界を参考にしたりするといいでしょう。結婚式の二次会などにもヒントが隠れているかもしれません。新卒採用に本気で取り掛かるのであれば、労力もコストも惜しめません。
「ちょっと座ってみようかな」と思わせる情報を学生に与えるようにしましょう。
3. 自社の魅力を学生に効果的に伝えるコツ
売り手市場の薬剤師業界の採用で、一貫して求められることは、他社との差別化を図り独自性を打ち出していくことです。他にはない自社の魅力を見つけ、効果的に伝えていくには何が必要でしょうか。
外部企業を活用する
自社の“特色”といえば、おおむねの説明が可能であると思いますが、自社の“魅力”を問われるといかがでしょうか。就職活動の観点で、会社そのものの魅力や売りを社内の目から発見することは、なかなか難しいものです。そのような時は迷わず、第三者の目線を借りるといいでしょう。
人材調達の手段として薬剤師業界の企業がよく活用している人材紹介会社への相談をおすすめします。人材紹介会社は求人にまつわる情報の宝庫です。薬剤師業界全体や個々の他社情報も抱えているので、多角的な目線で自社の魅力探しのサポートをしてくれるはずです。
自社の訴求すべきポイントが明確になったならば、次はそれをどのように効果的に伝えていくかが要となります。
同じ情報を伝えたとしても、その話し手により印象が大きく変わってきます。話す順番や語調など意識して工夫するだけで、聞き手へ強く印象を残すことが可能になります。よって、学生の前でスピーカーとなる社員はスキルアップが求められるでしょう。
しかし、その立場は、上層部や中堅社員、若手社員のリクルーターなど、さまざまと思われます。自社の採用担当からの指示だと強制的になりますが、社外の第三者からの指導であれば、勉強という印象になりますので、外部企業が行っている“話し方や心理学の研修セミナー”などを活用してスキル強化に努めるといいでしょう。自社の魅力をより効果的に伝えていきましょう。
「真実」を「数字」で伝える
薬剤師業界では熾烈な薬学生争奪の背景があるため、デマを流されるなど他社から妨害が入ることもあるでしょう。ですが、それをチャンスに変えてください。対応次第で信頼関係を築くきっかけにもなります。
例えば、「休みが取れずに残業が多い、ブラックと言われているのを聞いた」と学生から問われた場合。
「昨年は100店舗出店して薬剤師が200名入社した。ブラック企業がこれだけ成長できるでしょうか」
といったように具体的な数字を盛り込んでください。
また、過去に逸脱したことはあっても、やりがいを絡めることで説明のしようがあります。
「月300時間労働でかつてブラックと言われていた頃もあったけど、あの時のがんばりが今に生きている。会社の規模も大きくなって今は厳しく労働時間が管理されている」
マイナスを受け止め、事実と感情に分け具体的な数字を提示し、プラスで返す。ウソに対してウソで返さないようにしましょう。そのためにも客観的な判断ができる数字を盛り込み、話に説得力をもたせるのです。
売上、離職率、有給取得率や男女比など、客観的に捉えられる数字を情報として用意しておくと良いでしょう。自分の年収を公表している採用担当者も存在するくらい、数字の効果は絶大なのです。
そして一貫してお伝えしたいのが「うそをつかない」ことです。最終的には、人対人の採用、就職活動となるので信頼関係が損なわれる“見せ方”は厳禁です。真実を数字で伝え、誠実な姿勢を学生に示しましょう。「この会社は信頼できる」と思わせることが必要です。